前回の続きです。EWIやエアロフォンなどのウインドシンセは、サックスやフルートといった音源を内蔵しています。その数は、多くても数百といったところでしょう。ところが、パソコンに接続すると、使える音色はケタ違いに増えます。その理由は、これから紹介するDTM(デスクトップミュージック)のソフトシンセサイザやエフェクト(FX)とよばれるプラグインの働きによるものです。
ソフトシンセサイザ
ウインドシンセサイザの音色の設定には、まず、パソコンでDAWとよばれる音楽制作ソフトを起動してから、ソフトシンセサイザ(ソフトシンセと略すことがあります)を挿入して行います。
DAWのインストール
当ブログのDAWは、無料のCakewalk by BandLabを使用しています。インストールの方法は、次の動画を参考にしてください。
ソフトシンセサイザのインストール
ウインドシンセサイザの音色には、DAWの付属音源(TTS-1、SI-String Sectionなど)がそのまま使えます。ただ、音色の細かな編集や自作する場合は、ネットで有料・無料配布されている、ソフトシンセをインストールして利用しましょう。このブログでも、たくさん紹介しています。次は、その中のひとつ、Vitalとよばれるソフトシンセのインストール例です。
プリセットを使う
ソフトシンセがインストールできたら、そのシンセには、プリセット(予め用意された)とよばれる音色が収録されています。ウインドシンセサイザの音色は、その中から選んで設定できます。
収録プリセット数は、それぞれのソフトシンセで異なりますが、多いものだと、数千種類の音色を収録していますから、音色の選択には何日もかかりそうな数です。
音色の編集・自作する
プリセットの音色は、ソフトシンセのノブ(つまみ)やボタン操作で、編集できます。ただ、ソフトシンセのノブなどの数はとても多いので、そのすべての働きを、一度にマスターするのは大変です。はじめは、音色変化の大きなノブやボタンから覚えていくと良いかもしれません。例えば、カットオフとレゾナンスとよばれる2つのノブは、少しいじるだけでも、音色は大きく変化する場合があります。
このブログでも、次のソフトシンセ(Synth1)の「フィルターの働き」で、紹介しています。
ソフトシンセも「習うよりも慣れよ」で、まずは実際に使ってみることです。いろいろと試しているうちに、自分なりの音色編集法が、見つかります。扱いに慣れてくると、いちから音色を作ることも可能でしょう。
エフェクトプラグイン
ウインドシンセサイザの音色の設定、あるいは編集・自作するとき、ソフトシンセの他にも、音色に大きな影響を与えるものがあります。それは、エフェクトプラグインとよばれます。基本的なエフェクトは、ウインドシンセサイザにも内蔵されていますが、DTMのエフェクトプラグインは、ソフトシンセと同様に、多数が配布されて種類も豊富です。
エフェクトプラグインには、次のようなものがあります。
空間系エフェクト
空間系のエフェクトプラグインの代表は、リバーブとディレイです。
リバーブは、残響を調整します。お風呂に入って歌うと、部屋よりもよく響くのは、残響例のひとつです。
ディレイは、音を遅らせる効果で、よく「やまびこ」が、この例としてあがります。
ダイナミクス系エフェクト
ダイナミクス系のエフェクトプラグインとしては、イコライザー(EQ)やコンプレッサーがあげられます。
イコライザーを使うと、特定領域の周波数を強調(ブースト)、あるいはカットして、好みの音色に仕上げることができます。
一般的なコンプレッサーは、大きな音は圧縮して、小さな音はそのままといった働きをするもので、全体的な音量が適正になるように調整します。
ひずみ系エフェクト
ひずみ系のエフェクトプラグインは、ひずんだ音色を作ります。ディストーションとオーバードライブが、その代表です。
ディストーションは、音をどの程度ひずませるかを調整します。ウインドシンセで、エレキギターのような音を出す場合には、欠かせないエフェクトになります。
オーバードライブは、ディストーションよりも自然にひずませる感じに仕上げる働きをするので、少しやわらかなひずみ効果を生み出します。
ウインドシンセサイザの演奏例
この動画の演奏は、DAWにCakewalk by BandLabを使い、ウインドシンセサイザの音色は、ソフトシンセのVitalとディストーションエフェクトのBoogexを利用しています。ひずむ音を扱う場合は、音割れが生じやすいので、DAWに付属するダイナミクスエフェクトのBoost11を設定しています。
曲は、バッハの『バディネリ』、EWI演奏は、TRY DTMです。カラオケは、SynthMaster 2 Player Freeで作成しました。